何が、なんだか……。
訳がわからなすぎて、笑いすら覚えてしまう。
冷静に行こう。そして整理すれば、きっと状況がわかるはずだ。
1.俺は記憶喪失。
2.この白髪の少女に助けられたらしい。
3.龍とおかっぱの女の子。
4.変なクマ紳士登場……。
「わかるかぁ!」
いかん、余計わかんなくなった!
「まぁ、落ち着けよ、少年♥ 俺はyouの味方だぜ♥」
「お前が一番わからねぇんだよ! 肩組むな、クマやろう!」
ほんと、なんなんだ。こいつは。
「おやおや、連れないねぇ。俺たちは妖怪集団 “野良夜行”。youは誰なんだい?」
「知るか。……名前も何も思い出せないんだ」
妖怪集団……。
妖怪なんて、存在するのか?
「あるがまま。みよ、どうする?」
おかっぱの女の子が、ぽつりと呟いた。
みよ、とはこの白髪の子の事らしい。口元に手を添え、目を伏せていた。
「先ほども言いましたが、妖怪を信じますか?」
「信じるもなにも……」
龍が目の前に居るんすけど……。
「そう、あるがまま。大丈夫。記憶がないのなら、支えてあげる。みよの恩人だから」
「おぉ、そうだぜ。少年を食ったりしねぇよ♥ 有害な人間は追い払うけどな」
……食うって、どっちの意味だ?
「最低……」
またしても、ぽつり、とつぶやくおかっぱの女の子。
しかし、俺を見つめる怯えた瞳は、軽蔑を秘めていた。
なぜ……?


