「美月、美紅、ちょっといいかい」


善蔵が障子からひょっこり顔をだした


「なぁに?おじいちゃん」
「??」

「お前たちにいいものを見せてやろう。おじいちゃんについておいで」


「「?」」



二人は祖父の後をついて行った

やがてかなり古そうな倉にたどり着いた


「お庭にこんな倉、あったかしら」
「覚えていないわ」


善蔵は古びた鍵穴に鍵を押し込め、力いっぱい扉をあけた

「私の後から入りなさい」


倉のなかは黴としめった臭いがした

「ここは今日まで15年もの間封印してきたんだ。お前たちに見られないように。でももういいだろう、ずっと知りたかっただろうからな」

中には沢山の古い本やら服やらがあった

「美紅、これ!」
「アルバム・・・?」


写っているのは


「「お父さんとお母さん!?」」


だいぶ若いが、なんとなく懐かしい感じがする

姉妹には初めて見る若き両親の姿がそこにはあった

「ねぇ、この学ランとセーラーって」
「私達の高校のだわ」


「お前たちの両親は先輩でもあるんだよ。それは優秀な生徒だったそうだ。この高校で出会い、順調な交際を経て結婚した」

「・・・辛くないか?」


「二度と両親の顔は見れないと思っていたわ」
「ええ、だから嬉しいわ」


写真の中の二人は優しく幸せそうな笑顔を向けていた