ここでどうやら美月が見ていた光景は昨日の夜のことと夢と自分の心とが混ざったものだろうと思った
「で、美月ちゃんは私に言いたいことがあるんじゃない?」
ほほえみを崩さずに絵梨花が言った
「私はいくらでも待てるわよ。先に教室にいっているわね」
美月はとっさに絵梨花の手をつかんだ
ひどく冷たい手だった
「待って。昨日の続きを言うわ」
「待ってました」
絵梨花は向き直り、二人は正面から顔を見合わせた
「私には絵梨花が必要よ」
「私もよ。嬉しいわ美月ちゃん」
絵梨花の冷たい微笑が華やいだ
「美紅がとてつもなく怒りそうだけど」
「あの子は大丈夫。晴樹君がいますもの」
…晴樹くんか
美月は小さく小さく気持ちをたたんだ


