「そんなこと、ないわ」 美月の足はわずかに震えていた が、それを見逃さない絵梨花ではなかった 「怖いの?離れていくのが」 「違う」 「一人になるのが?」 「違、う」 「昔の美紅みたいになるのが…?」 「違う!!」 「激しい否定はかえって怪しいわよ」 美月はわなわな震えていた 他人の目からもわかるように 通行人が何が起きたのかと遠慮なく振り返る程に 「違う違う違う違う、」 それを至極楽しそうに絵梨花は眺めていた 「ねえ、美月」 「私が一緒にいてあげましょうか?」 悪魔の誘惑