-ここからは善蔵さん自身の独り語りとなった 昔を懐かしむようでいて、憎んでいるようでもあって どっちとも取れる表情を浮かべながら、ただ淡々と、善蔵さんは俺に語った その話し方はまるで物語の様で 内容は突拍子もないものでありながら、決して邪険にはできなかった 本人たちさえ詳しくは知らない両親の生涯を俺が聞いたのには、何か理由があるのだろう