「善蔵さん、そんなに悪いんですか」 「そんなことはない。俺はもう歳を取った、それだけのことだ」 「あの、今おいくつなんですか…?」 「80は優に超えている」 「えぇ!?見えないんですけど…」 「よく言われる」 ははは、と善蔵は晴れやかに笑った後、少し間をおいて、穏やかな顔をした 「晴樹君、さっそく本題に入ろうか」 「はい」 「今日話すのは、美月と美紅の両親の話だ」 晴樹は背筋をぴんと伸ばして身構えた。