今朝まで温かかった雅の手が冷たくなった。 たけちゃんと新菜姉と一緒だからと、安易に出掛けたからだろう…。 私は雅の手を握り、泣く事も忘れ、呆然と雅の寝顔を見つめる。 蕾「愛美。隣のベッドに布団、用意して貰ったから寝ろ?」 蕾兄が私の頭に手を乗せながら話す。 私は首を振り、「眠たくない」と返す。 蕾兄は「腹、冷やすなよ」と、自分が着ていたパーカーを私に羽織らせて、病室を出て行った。 ―――時刻は1時を回ってる。 静かな病室、廊下に、雅の心電図のピコンピコンッという音だけが響く。