―――昨日、私の思いがけない妊娠が発覚した。

喜べない自分がいたけど、雅のお陰で、小さな命を消す過ちを犯さずに済んだ。

嬉しくて、幸せを感じた。

今日、私は退学届を出しに、蕾兄と学校へ来た。



校長「…そうでしたか。
可愛い元気な赤ちゃんを、産んで下さいね」



事情を話したら、あっさりと受理された。

「最後に挨拶して欲しい」と、猪狩先生に頼まれ、嫌だけれど、私は教室へと来た。

蕾兄が、教室の後ろから私を見ている。

何を話せば良いかわからないまま、猪狩先生が、「木下が今日で、この学校を去ります」と言った。