「更紗っ!なにしてたのよっ。」

「ご、ごめんごめんっ。」

「もしかして・・大?」

「ち、違うよっ!!」

教室につくと、ギリギリセーフだった。結構時間が空いたから、茜ちゃんに変な勘違いされるトコだった。

まったくもう。

あたしは茜ちゃんの隣に座って、窓際の前のほうに座っている彼女をチラッと見た。

窓から入る風が長い髪を揺らしている。彼女は頬杖をついて、つまらなそうに前を見ていた。

「・・更紗?なに見て・・ってああ、堂島さんかあ。」

あまりに見すぎてたのか、茜ちゃんに気づかれてしまった。
茜ちゃんは興味がなさそうに、堂島さんのことについて喋り出す。

「あの人本当に綺麗だよね。スタイルも芸能人並みだし、髪の毛も自然のシルバーでしょ?しかもテスト毎回1位だし。やっぱり神様不公平だよねえ。あれでオトコ嫌いとかもったいなさすぎ。で、なに?更紗もあっちの世界いきそうなわけ?」

へ?

「あ、あっちの世界?」

「あれ知らない?」

茜ちゃんはキョトンとして、椅子の背もたれにもたれかかった。

「堂島麗は、同性さえも虜にする女って。」

「・・な、なにそれ?」

「んーつまり、女も惚れちゃう、みたいな?レズビアンになっちゃうらしいよ。」

れ、れずびあん!!?

しょ、衝撃的すぎる・・。

「そ、それ本当なの?」

「噂だよ噂。しっかしあたしはああゆうのには興味ないからなあ。」

「・・さっき、堂島さんが告白されてるとこ見ちゃった。」

あたしはさっきのことを茜ちゃんに伝えた。

「へえ、まじで。ま、日常茶飯事だよねあの人の場合。」

「・・なんか、冷たい感じだった。」

「オトコ嫌いらしいからねえ。」

「うん・・。」

でもなんか、嫌いってだけじゃないような気がしたんだけど・・・。
気のせいかな?