「え?」 「だってレイを目当てに来る客もいるし。貴重な客寄せをクビにするはずないって」 「そんなこと初耳ですけど」 「俺も初めて言った」 タツキさんはポケットから鍵を取り出しそれを従業員専用出入り口の鍵穴に差した。 「レイは鈍感だし天然だもんね」 「そんなの関係ないじゃないですか」 英国紳士のような品のある仕草でドアを開けて『入れ』という視線を送ってくる。 口元に弧を描いて私を見つめてくるから何だかバツが悪いというかどうしようもない気持ちになる。