中に入ると、ずい分とシンプルな部屋だ。余計な物がいっさい無い。ベッドと本棚、それと机と椅子だけだ。 「マルティーナ、また公務と偽って外に出ていたのか?」 「えっ?」 姉様……いつもそんな事やってたの? それにしても、姉様とグスタフさんって親しそうだな。ため口で姉様に話しかけている。 「今回はちゃんと公務……よ。帰ってきたから、報告しにきたの」 出来るだけ、姉様に近い口調で話す。女言葉を使うのも当然慣れない。 「そうか」 口数が少ない人だ、何だか高圧的なオーラを感じてしまう。