「ゲホッ!何これ……」 「あの魔女、何しやがる!?」 煙が収まった頃には、リリアの姿はもうなかった。 見事に逃げられちゃった。でも、呪いを解く薬はもらったからいいか。 「まったく、リリアの奴はどうしようもない」 煙のせいで白くなった眼鏡を、ローブの裾で拭きながら、レスターは呆れたように言った。 「戻ろうか、王子」 「うん」 呆れながら笑ってるレスターに、僕も笑顔で返事をする。 「アルベルト!」 「何?」 レスターが転移の魔法を唱えようとした時、急にロルフが僕の名前を呼んだ。