部屋から離れた廊下の隅、息を切らしうずくまっている人物がいた。 「思わず逃げたけど、本物のマルティーナ女王って……」 その人物は頭を抱え、必死に今さっき聞いた整理しようとした。 「じゃあ、あの人はマルティーナ様じゃないのか……?」 「何をしてるんだ?具合でも悪いのか、ロルフ」 「クラウス……なんでもないっ!」 立ち上がり、通りかかったクラウスに背を向け、ロルフは走り去ってく。 クラウスはただその様子を、見送っていた。