カモミール・ロマンス


住宅街の一角。

学校から自転車で15分という高立地。

そんな場所に直也の家はあった。

白い壁に茶色い豪華な扉。

門構えもしっかりとしていて、少しだけ堅苦しさを感じる。

「ほら、美咲」

「……うん」

勇気に促されて美咲が門を抜ける。

ゆっくりとチャイムを鳴らす。



『……はい、どちら様でしょう?』

インターホン越しに直也の母親が出た。

「あの、私直也くんと同じクラスで高田って言います。直也くんのお見舞いに来たんですけど」

不安ばかりが募っていく。

いつもみたいに飄々と、あくびでもしながら、やる気のない返事をしてくれたらどれだけ安心できるか。

『……お見舞い?』

少し困惑したかのような声。

『直也なら学校へ行っているはずですけど……』

「えっ?」

母親の答えに美咲の中に最悪のビジョンが浮かんできた。

震える美咲の肩を勇気が力強く掴む。