次の日の勇気は浮かれっぱなし。

何も話さなくても何かあったことが分かるくらいに。

「ユキ気持ち悪い」

弁当を食べながらにやけっぱなしの勇気に直也が冷ややかに言った。

その言葉すら勇気の口角を下げることはできない様だ。

「何か良いことあったんでしょ?何があったの?」

翔の質問に、待ってましたとでも言わんばかりに顔を明るくする勇気。

「聞きたい?実は、昨日な……」







「凄い。遂に会えたんだねりんごの女の子に」

「へぇー、良かったじゃない。それで何処の学校の人だったの?」

さっきまでにっこにこしていた勇気の顔が、美咲の何気ない質問で固まる。

勇気は目を点にしていた。

「え、学校?分かんないや」

美咲の頬に汗が伝う。

そして美咲は恐る恐るその質問をするのであった。


「な、名前は……?」

笑顔のまま微動だにしなくなった勇気。

美咲は呆れるのを通りこして、開いた口がふさがらない。

「まさか、あんた。名前すら聞いてないとか言うんじゃないでしょうね?」