カモミール・ロマンス


次の日の部活終わり。

「これからカラオケでも行こうぜ?」

「おっ、良いな。勿論一年は付き合うよな?」

「「「はい、勿論っス!」」」

日頃の練習で溜まった鬱憤を晴らそうと三年生が言い出した。

キャプテンが翔を見る。

「なぁ翔も行くだろ?」

翔は先輩の誘いを断ったことはない。

「あ、僕は……」

美優の気持ちを受け取り翔は揺れていた。

ちらっと見た右端のロッカーから荷物がなくなっていた。

寂しそうに口を開けているそこに"目指せ県大会"と遠慮がちな小さな字が書かれている。

「僕は今日は、ちょっと……」

翔は先輩の目を見ることもできずに、初めて誘いを断ったのだった。

翔を置いて部員達が部室を出ていく。




空っぽになったロッカーの前で翔は立っていた。

「……先輩」

翔はゆっくりと、そのロッカーを閉じ、部室を後にした。