暗くなった部屋に一人きりで翔は立ちすくんでいた。
「笠井先輩……何で」
たった1人の新入部員だった翔は先輩達みんなから可愛がられていた。
部活中、学校で、放課後も翔は先輩と過ごすことが多くなっていた。
そんな生活に少しだけ疲れてしまっていた頃。
笠井が気に留めてくれたのだった。
「先輩からの誘いだって断って良いんだぞ?そんな一緒にいたら疲れちゃうだろうに」
何も言えない翔に笠井はこう続けた。
「……ふっ。本当に良いやつだなお前は。分かった、オレから皆にそれとなく言っておくよ」
次の日から先輩達の誘いは柔らかくなっていった。
そんなことをしたら関係を悪くしてしまうと思っていた翔だったが、笠井のおかげで関係を悪くすることもなく済んだのだった。
「…………」
着替えをバッグにしまい、翔は力の入らない足で部室を後にするのだった。



