校庭の片隅、トイレの横に各部の部室が設置されている。

サッカー部は左から3番目、扉の窓にロナウジーニョのポスターが貼ってある。

「……疲れたな」

ゆっくりと扉を開く。

「……あっ、笠井先輩」

部室にはたった1人、笠井だけが残っていた。

翔の胸がぎしっと軋んだ。

「…………」

サッカー部は15人。

二年生は翔ただ1人、今年はいってきた3人は未経験者。

スタメンは11人いる3年生が全員で入るはずだった。

「……なぁ翔」

「はい」

翔がスタメン入りをすることでスタメンから外れてしまう1人が出る。

それが笠井だった。

「もうコーチから聞いたか?来週の大会お前がスタメンだってよ」

「はい。さっきコーチに言われました」

汗はもうひいていた。

それでも何かを拭う様に翔はタオルを肌にそわしている。

「……オレ、サッカー辞めるよ」

消えいくように呟いた笠井。

「先輩!?何言ってるんですか!?」

着替える手を止めて笠井に詰め寄る翔。

笠井は力なく笑った。