それに気付いた翔がちらりと、その新入生を見た。

植村 圭介(うえむら けいすけ)、中学時代は県大会で優秀選手として表彰された。

攻撃的なプレーでチームを引っ張り、県下でも有名な高崎商業から特待生の誘いがあったようだが、何故かその話を断り、ここ桜ノ宮附属に入学している。

「まずは目の前に迫った、三島工業との練習試合に備えて練習していこう。

今日はここまで」

「「「ありがとうございましたー!!」」」

グラウンドに声が響く。

「すまんが山田はちょっと良いか?」

「はい」

渡部に呼ばれた翔が校舎へと歩いていく。

その姿を圭介がじっと睨み付けていた。