可愛いらしい小さな花を少しずつ摘み始めた美咲。

翔は美咲からゆっくりと離れて、勇気の傍へと向かう。

「……うーん。これ、も違うかぁ」

うんうん唸っている勇気。

「ユキ、さっきから何を探しているの?」

翔がそっと勇気の前にしゃがむ。

「翔。いや、ほら四つ葉とかあったらさ。何かラッキーかなって思ってさ」

三つ葉を注意深く掻き分けながら勇気がそう言った。

「そうだね。よーし」

翔はぐいっと腕まくりをする。

「僕も探すぞぉ」

三つ葉を掻き分けると土の匂いがふわっと上ってきた。

柔らかい葉をちぎらないように優しく探る。

小さな葉や大きな葉。

どれもこれもが元気よく太陽に向かって葉を広げていた。