桜が散り、肌寒かった風が柔らかくなりつつある頃。
勇気はいつも通りにバス停でバスが来るのを待っていた。
その隣に翔の姿はない。
「遅いなぁ翔のやつ。
遅刻するんだったら連絡くらいよこせよなぁ」
決して車通りの激しい道ではないけれど、朝は通勤ラッシュで車がびゅんびゅんと行き交う。
晴れ渡る今日の空みたいに青い車が通り過ぎていき、勇気はそれが見えなくなるまで目で追い掛けた。
勇気が沙織に気持ちを伝えてから早くも5ヶ月が過ぎようとしていた。
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