小学校に入ってから美咲はどんどん身長が伸びていった。
低学年では有りがちな男子よりも少し大きな女の子だったのだ。
そんなことがあって美咲は男子に身長のことをからかわれては1人泣いていた。
その頃、翔はまだいじめっ子を注意できる勇気はなかったし。
直也に至っては面白がって一緒に美咲をからかっていたくらいだった。
「ぐすん、すん……
また皆が私を「男女」って言っていじめるの、ひどいでしょ?」
美咲はよく桜の木の下で、そう胸の内を明かしていた。
「男の子なんて皆嫌い。
こんな大きな身体も大嫌い」
ぽとっと涙がこぼれ落ちる。
桜は満開だ。
『君の願いを叶えてあげようか?』
「――えっ?」
ふいに声が聞こえた気がして、美咲は上を見上げた。
桜の枝がピンクの花びらを背負って揺れていた。
『もし君が今から落とす花びらをキャッチできたら、願いを一つ叶えてあげる』
「本当?本当に!?」
風がピタッと止み、一枚だけ花びらが舞った。



