木村、小杉、鈴木、園田そして田中。

2組の名簿に高田美咲の名前はなかった。

「あ、美咲は4組だ……」

2つ隣のクラスに美咲の名前を見つけた翔が美咲を見る。

美咲は瞬きもせずに自分の名前を見つめていた。

その表情は何処か哀しげにも見えた。

「美咲……」

直也が美咲を呼ぶ。

美咲はゆっくりと振り向いて、小さく笑った。

「あんた達との腐れ縁もようやく終わったわね。

だから、真央と一緒だし……ナオ、そんな顔で見ないで?」

美咲の言葉に直也はかけようとしていた言葉を止められてしまった。

直也は聞こえないくらい小さな声で「ごめん」とうつむいた。

「じゃ行こっか真央。

受験生なんだから授業中に寝てちゃダメだよナオ。

まぁ、ユキとか翔みたいに寝てなくても理解できてないんじゃ意味ないけどね」

「なんだと!?」

「ははは、じゃあまたね」

明るい声を出して美咲は真央と新しい教室に向かっていくのだった。

「……ナオ?」

直也は無言で歩いていった。

教室ではない。

勇気と翔は顔を見合わせ、ゆっくりと教室に向かっていった。