「いらっしゃいませー」

翔が元気良く新しい客2人を迎え入れる。

「すいません、焼きそばください。

あ、紅しょうが抜きの青のりたっぷりで」

「はーい。紅しょうが抜きの青のりたっぷりですね。

そちらのお客様はどうします?」

トッピングの注文まで堂々とする香代。

沙織は少しだけ緊張してしまっているようだ。

「えっと……じゃあ私は量を少しだけ減らしてもらえますか?」

「すいません、小盛りでも値段は普通と一緒になっちゃうんですけど、大丈夫ですか?」

「あ、はい」

同世代の男の子に接客されて緊張していた沙織。

注文をしただけだけれど、そっと胸を撫で下ろしていた。

「はい、こちらおつりお返ししますね。今焼いているんで、少々お待ちください」

翔の接客は完璧に近かった。

それも家の店番なんかをしていた経験が生かされているようだ。