学校を出て右手、大通りを横切ってずっと真っ直ぐ。
看板が傾いている写真屋さんの十字路を曲がって、後はひたすら道沿いに行くだけ。
「しっかし無駄に良い天気だな」
さんさんと輝く太陽を見ながら勇気がぼそり。
「本当だね。日本の景気もこのくらい晴れやかなら良いのにね」
なんて大して興味もないくせに、翔が景気のことを口にする。
「いや、日本が晴れやかなのは政治家のおっさんの頭だけだから」
だるそうに言うのはもちろん直也で、美咲はそんな3人の後ろをついて歩いていた。
皆なんだかんだ言いながら歩くペースは美咲に合わせている。
誰が言い出したわけでもないけれど、いつの間にか自然とそうなっていた。
「あ、出た、斜め看板」
「もう、これはもはや芸術の域だよね」
「うん。なんかもう、粋だよね。ここまでくると」
斜め45度。
いや50度くらいに傾いたカメラ屋の看板を、翔が同じくらい身体を傾けながら見ていた。
それを見て笑う美咲の歩調も心なしか軽い。



