その頃、美咲は三組の教室で真央とご飯を食べていた。

「また何かあった?」

突然の真央からの言葉に、美咲は箸でつまんでいたタコさんウィンナーを弁当箱に落とした。

美咲は箸を置く。

「……何でそう思うの?」

真央はゴマの香りのするホウレン草のお浸しを小さな口に入れた。

そして「うん、美味しい」と呟いて、箸を置く。

「分かるよ。だって美咲が私のところでご飯を食べるのは、私か美咲に何かあった時だけだもん。

今私は凄く元気だし。ということは美咲に何かあったのかな?って」

真央はそう言って笑った。

美咲は真央の目を見れないでいる。

「美咲はズルいよ」

「――えっ?」

突然の言葉に顔をあげた美咲。

真央は穏やかな表情で続ける。

「私に何かあると美咲は必死になって私を助けてくれるのに、美咲は自分が苦しい時には1人で背負っちゃう。

美咲はそれで私が苦しまない様にって思ってくれてるのかもしれないけど、1人で背負って辛そうな美咲を見るのはもっと苦しいんだよ?」