翔は美優の目をじっと見つめる。

美優は目をそらさないように、唇をぎゅっと閉じるのだった。

「きっと最後には開いていていてもこぼれなくなるんじゃないかな?」

「……?」

美優は首をかしげた。

「また開いて、手を打って、その手を上に。

お互いの幸せを願ったから、もうきっと離れることなんて無いと思ったんじゃないかな?

その手を上に上げるのも信頼しているから。信じているからなんだよ。きっと」

翔は美優を見て「ね?」と笑った。

「そっか……じゃあ、やっぱり素敵な歌だったんですね」


美優の小さな歌声が校庭に吸い込まれていく。

聞いているのは只一人。

そっと隣で耳をすましている。