よくよく覗き込んでみると、ただの厚紙ではないようだ。
「なんか綺麗な紙だね」
翔が美咲の手にしていた色紙を見ながらそう言った。
桜の様にきらびやかな桃色ではなく、梅の花の様なほんのりとした桃色。
「そんな小さいので何つくんの?」
勇気が尋ねるが美咲は何故だか恥ずかしがって答えようとしない。
「うるさいわね、あんたたち。何でも良いじゃない」
美咲がはぐらかそうとするけれど、ついにあの男が動き出した。
眠りのコ〇ローならぬ眠りの直也。
「美咲が必要で、手のひらサイズ、綺麗な色紙に……」
直也は美咲のポケットから透明なシールがはみ出ていたことを見逃さなかった。
「なるほど……栞ね」
ドキッ。
身体をビクッと震わせた美咲。
だんだんと顔が赤くなっていく。
「はぁ?栞って。お前そんな女の子じゃあるまいし」
「何ですって!?」
勇気をポカポカと殴る美咲。