身体を起こしたおじいさんに駆け寄る女の子。

突然の沙織の登場に勇気は驚く。

「おじいさん本当に大丈夫?立ってみることできる?」

沙織はおじいさんの背中をさすりながら、そう聞いた。

「あぁ、大丈夫だよ。立てる立てる、よっこらせっ」

地面に手をついて、ゆっくりと身体を持ち上げるおじいさん。

「ごめんなさい、少し身体を支えてあげてくださらないかしら?」

「えっ――あ、うん」

沙織にそう言われて勇気がおじいさんの身体を支える。

「ゆっくりで良いよおじいちゃん」

声をかけながら、なんとかおじいさんは立つことができた。

沙織は横に転がっていた杖を手にとって、おじいさんに手渡す。

「おじいちゃん股とか痛くない?もしこれから痛みとかが出てきたら、お家の人に言って病院で診てもらってね?」

「うん、ありがとう。優しい子達だね」

そう微笑んで、おじいさんはゆっくりと歩いていった。