「は、離してください」
美咲の震えた声に女は意地悪く笑った。
「あら、どうして?それを決めるのは直也よ。さぁ、行きましょう?」
直也の抵抗は無くなっていた。
女に引っ張られるままに歩きだす。
「ナオのバカヤロウ!」
勇気の叫び声が通りを歩く人にまで届く。
「何でもっと自分を大切に出来ないんだ?お前ちゃんとオレ達の親友だって分かってるのかよ?
1日休んだだけでどんだけ心配したか、親にも内緒でこんなとこ来て、美咲まで泣かせやがって……このバカヤロウ!」
はぁはぁと息を切らす勇気。
直也は驚いたような戸惑うような顔をしていた。
「ユキの言う通りだよ。ナオの寂しさなんて全部分かってあげることはできないかもしれないけど、こんな自分を傷つけて紛らわすのだけはやめてよ」
「そうよ。少しくらい私達を頼ってくれたって良いじゃない。じゃなきゃ私達だって辛い時にナオのこと頼りにして良いのか分かんなくなっちゃうよ」
直也は俯いた。
今の彼には眩し過ぎるのかもしれない。
真っ直ぐに思いを伝える勇気達が。



