「マジかよ・・・」


「何を思ってその言葉が出てきたか分からないけど、ムカつくことだけは確かだな」


「聞き流せ」


いつものように翔平をいじる。


最近、いじるネタがワンパターン気味なのが悔しい。


「そういや、セリフは覚えたか?」


なんとなく気になったので、誰となしに尋ねる。


「唐突な話題だな」


「いいからどうなんだよ」


「覚えきれねぇ。半分くらいだよ」


「あたしは、とりあえずバッチリ。うろ覚えだけどね」


『わたしは、セリフはないから・・・』


遥は、セリフがない。


あらかじめスケッチブックにセリフを書いて、それを舞台に立っている他の奴が読みあげる、という形になっている。


『こーいちくんは?』


「ほとんど覚えてねぇ」


「は・・・・・・?」


「お前な・・・」


美雪に、ゲシッと足を踏まれる。


・・・・・・痛い。


(あんた、ふざけてんの?)


目でそう言われる。