約束のノート

試合が再開される。


田村、大島とパスを回す。


美雪や翔平もパスカットしようとするが、紙一重でカットできない。


裕二に渡り、ゴール下でシュートを決める。


さらに点差は広がった。


「・・・オレは、主役をやれるかも知れないと知ったときの、山本の笑顔を忘れない」


裕二が俺にそう話し掛けてくる。


「もっと、山本の笑顔が見たいと・・・そう思ったんだ。だから、オレは・・・オレたちはこんなに一生懸命なんだ」


「・・・・・・何が言いたいんだ?」


「中山や、山田も同じだと思うぜ。お前は違うのか?」


・・・・・・・・・


「いや・・・・・・」


俺は、遥の笑顔が見たいから、一緒にいるんだ・・・


あいつの笑顔を見るのが、好きだから。


傷つくことを恐れるより・・・


前を向いて、積極的にやっていく。


それは、大切なことだ。


そうすれば、笑顔になるチャンスが増えるのだから。


「違わないさ!」


裕二へのパスをカットし・・・


そのまま抜き去る。


「!?」


間髪入れず、スリーポイントシュートを決める。


「光一・・・」


「勝負はここからだぜ、裕二!」


「・・・ああ!」


お互い笑顔でそう言った。