約束のノート

「光一、どうしたんだよ。あんな不用意なパスを出すなんて」


翔平が言う。


「・・・悪い」


「てか、あんたがしっかりしてくんないと、あたしたちは勝てないんだから。しっかりしなさいよ」


「分かってる・・・」


気のない返事を返す。


その後も、俺たちは相手のパスワークに翻弄され、点差が広がっていく。


裕二にボールが渡る。


「お前、手ぇ抜いてるだろ?」


マークについた俺に問い掛ける。


「・・・・・・」


沈黙で返す。


肯定と取ったのか、話を続ける。


「まあいいや。お前がなに考えてようとオレの知ったことじゃない。オレたちは、山本のために頑張ってるからな」


そう言って俺を抜き去る。


大島に渡し、シュートするが、ボールはリングに当たる。


「チッ!!」


リバウンドに翔平が触れる。


だが、触れるのが限界でボールはラインを割り、相手のボールになる。