約束のノート

「やめろっ」


翔平が美雪を森野から引き離す。


森野の取り巻きも、森野を美雪から離す。


怒声を聞いた数人の生徒がこちらを見る。


できるだけ、騒ぎを起こしたくは無い。


「・・・とにかく、もうあんなバカなことはやめろ」


俺は静かにそう言った。


「邪魔したな。行こう、皆」


「・・・・・・」


「・・・・・・?」


そのまま立ち去ろうとしたが、遥の様子がおかしい。


「・・・遥?」


俺の呼びかけにも応えない。


仕方ない・・・


「行こう、遥」


遥の手を無理やりつなぐ。


図書室へ向かい、廊下を歩き出す。


翔平と美雪もそれに続いた。


その道中・・・


やけに視線を浴びた気がした。


遥の手をつないでいるからだと気づいたのは、図書室に入った後だった。