約束のノート

「お前のおかげで、こっちは迷惑してんだ」


「そんなこと知ったことじゃないわね」


「あんたねっ・・・!!」


「やめろよ。美雪」


美雪が食ってかかるが、翔平が押しとどめる。


少しの間、俺と森野はにらみ合う。


唐突に、遥が前に進み出る。


『もう、こんなことはやめて』


ノートに、はっきりと書かれた文字を森野に見せる。


たくさんのひとが怖いって言う、内気な遥が。


こんなにはっきり言うのを見て、俺は驚いた。


遥は、強いな・・・・・・


「っ・・・・・・!!」


森野の顔が、怒りでゆがんでいく。


「・・・・・・コエナシのくせに、ふざけないでっ!!」


「・・・・・・・!!」


・・・沈黙。


・・・静寂。


一番最初に反応したのは、美雪だった。


「あんたねぇっ!!」


怒声とともに、森野の胸ぐらを掴む。


「言っていいことと、悪いことがあるでしょっ!!あんた、それも分からないのっ!?」


「何をっ!!」


ふたりが喧嘩腰になる。