約束のノート

3組の教室の前。


ドアの近くにいた奴をつかまえて、森野を呼んでもらう。


森野が、数人の女子をはべらせてこちらへやってくる。


遥を一瞥してから、俺たちに眼を向ける。


「あなたたち、何か用?」


「単刀直入に訊く。この紙に見覚えは無いか?」


ピラ、と、『コエナシ』と書かれた紙を見せる。


「ええ。あるわ」


「確認しておくけど、これを書いたのは・・・」


「あなたの想像通りよ」


俺が確認する前に、森野が口にした。


「ええ、そう。あなたたちの想像通り、それを書いたのはわたし。片岡の下駄箱に入れたのも、わたし。それが何か?」


あっさりと認める。


開き直っているのだろうか、まったく悪びれた様子も無い。


その態度に、ムカムカした感情が湧いてくる。


美雪にいたっては、刺激したら爆発しそうな感じだ。


俺は感情を抑えて、尋ねる。


「・・・なんで、こんなことしたんだ?」


「決まってるでしょ。片岡が気に入らないのよ。ただそれだけ」


(コイツ・・・!!)


平然と言うその態度に、怒りを覚える。


「とにかく、こんなことはもうやめろ」


「どうして?」