約束のノート

「決まりね。書いた奴の骨、折りに行く」


昼休み。


図書室に4人がそろった瞬間、美雪がそう言う。


「だから、待てって。大体、誰がやったのかすら分かんないんだから」


「光一。そのことなんだが、ちょっと調べてみたんだ」


「何か分かったか?」


「ああ。誰がやったのかは分かった」


「・・・誰なんだ?」


「3組の森野だ」


「そうか・・・」


去年まで同じクラスだった。


普段から中心的なポジションにいる女子だ。


常に何人かの女子と一緒に行動している、リーダー格の人間だ。


「ウチのクラスの奴が、放課後に遥ちゃんの下駄箱に何か入れてるのを見たらしい」


「あいつがぁ?」


あからさまに嫌そうな顔をして、美雪が言う。


美雪は、森野のことがかなり嫌いらしい。


いわゆる犬猿の仲と言うやつで、相当仲が悪い。


そのせいかどうかは分からないが、俺もあまりいい印象は持っていなかった。


「どうする?光一」


「・・・とにかく、こんなことをした理由を訊きに行こう。手は出すなよ、美雪」


「分かってる」


渋々、と言った感じで頷く。


「行こう、遥」


「・・・・・・・」
・・・うん。


俺たちは、3組の教室に向かった。