約束のノート

翌朝。


遥が、昇降口に立ち尽くしていた。


一枚の紙を持って。


2日連続か・・・


イタズラにしてはたちが悪過ぎる。


「・・・遥」


ハッとこちらを振り向く。


「・・・何て書いてあった?」


ピラ、と俺に紙を見せる。


『コエナシ』


「・・・・・・」


怒りが、込み上げてくる。


美雪じゃないが、書いた奴をぶん殴ってやりたい。


「大丈夫か、遥?」


なるべく穏やかに言う。


遥に、余計なことを考えさせたくない。


一番辛いのは、遥なんだから。


「・・・・・・・」
・・・・・・うん。


力無く頷く。


「行こう、遥」


「・・・・・・」
・・・うん。


俺と遥は、ふたりで教室へと向かった。