朝の教室。


相変わらず、俺は悩んでいた。


「よう、光一」


「・・・・・・」


「お~い、光一~。起きてるか~?」


「っと。なんだ、いたのか」


「どうしたんだよ、ボーッとして」


翔平が心配そうに尋ねてくる。


「ああ・・・いや」


俺は席に着く。


「なあ、翔平」


「なんだ?」


「俺がいなくなっても、元気に生きろよ」


「お前、相変わらずワケ分かんねぇんだけど」


「いや。お前さ、俺がいなくちゃ夜トイレに行けないだろ?」


「ひとりで行けるよっ」


「ああ・・・あの頃が懐かしい。それが今じゃこんなに大きくなって」


「まるでアンタが年上みたいな言い方ですね」


懸命に突っ込む翔平がおかしい。


「と言うか、お前何が言いたいんだよ」


「つまりだな・・・俺がいなくても、強く生きろってことだ」


「やっぱりワケ分かんねぇよ」