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あたしは次の日の放課後、啓ちゃんを屋上に呼んだ。


『夕焼けが綺麗だよ。屋上で待ってる』って、それだけメールした。

あたしは、一足先に屋上に着き、泣きたくなるくらいに綺麗な夕焼けに胸を締め付けられていた。



雲の狭間から、ゆっくりと飛行機雲が進み、カラスが低く空を飛ぶ。

部活をやっている生徒達の声が、遠くに聞こえ、屋上には何ともいえないセンチメンタルな空気に包まれていた。



あたしは、何も言わず鞄を放り、地面に寝そべった。

背中にひんやりとした感覚が伝わり、それが何だか心地よくて、そっと目を閉じた。



何でだろう、心が今、すごく穏やかなのは。

静かに時間が流れていくような、そんな感じ。



あたしは、目をつぶったまま、歌を口ずさみ出した。



「茜色 染まるのに 思い出のあの日のように―…でも 少し違うのは―…」

「僕の傍に今 君がいないってこと」

「え」




誰かが歌の続きを口ずさんだ。

声のする方を見ると、そこには啓ちゃんがいた。



優しく微笑んで、「遅れてごめん」と言った。