―…

ピンポーン


鍵は出さずに、チャイムを押した。

ドキドキする。


何か、やっぱりクリスマスだからか、特別な感じがする。



啓太の部屋のドアには、何気ない小さなリースがついていた。

しばらくして、バタバタと走ってくる音と、ポポが吠えている鳴き声が聞こえてきた。


そして、ガチャっとドアが開いた。


「早かったね!」


啓太が嬉しそうに笑ってお出迎え。


「そ、そうだった?!」


わ、啓ちゃん、腰にエプロンだ。


…可愛い~っ!


さすがにフリフリエプロンじゃないけど、いい匂いがするから、何か作ってくれたのかな。


しかもフライ返し持ったまま来るなんて、何か漫画の中の人みたいだよ、啓ちゃん。




やばい……嬉しい。

あたし今、幸せかみ締め中。


「あ、美園、メリークリスマス!」

「へ?あ、あー、メリークリスマス!」



思わずお辞儀して握手…って、何で握手してんの?!あたし達!

メリークリスマスのセリフの後に、握手するなんて聞いた事ないから…。



あたし達は笑った。

そして、暖かい部屋の中へ入っていった。