「でも、沙織とキスしたっ」


「それは、俺にも分からないんだ。

 なんでそんなことしたのか」


分からない?

だって、沙織のことが好きなんじゃないの?


「衝動的だったんだ。
 気付いたら沙織としていた

 俺は、沙織を傷つけたし、ユカも傷つけた」


「あ、あたしのことなんていいんだよ!

 なんで沙織のこと傷つけたのよ」




あたし、沙織のことこんなに大切に思ってるんだ。


あの子は、言わなかったんじゃなくて、言えなかったんだよね。



自分のことばっかりで、イヤだな。




そう思うと自然と涙が出てきた。




「えっ、沙織?」
「なにやってんの?」


亮の動揺している声と同時に声が聞こえた。


沙織の声。




あたしは泣き崩れていった。