久しぶりの優衣との昼食も、チャイムに急かされておしまい。残りの授業を済ませて今日もまたバイト。


一人ぼっちでバイト先に向かうのがなんだか悔しかった。


さびしい、じゃなくて悔しい。何が悔しいんだろう。


騙されたから?


他の女の子とお泊まりに行くって言ってたから?


全然連絡がこないから?



愛して貰えないから?



悠斗離れって、どうやってするんだろう。


恋に落ちるのは一瞬なのに、忘れたり諦めたりするのは難しくて時間がかかる。



どうやったら、この想いを消せるの?




















「それはやっぱり新しい男だよ。私もそうだった、旦那に出会うまでは魔性の女だったんだから」


「仕事してください奥田さん」



バイト先ではため息の理由を上手く聞き出す奥田さんに掴まった。


悠斗の事、あまりいい印象がないみたいだから新しい彼氏を見つけなさいと催促ばっかり最近される。



「ウチの息子とかね、紹介したいけど柔道しかしてこないようなむさ苦しい男だからなー。彩音ちゃんに紹介するのは酷よね」



「もー奥田さんは黙って。ほら、レジお願いします」


「はいはい」



新しい彼氏はともかく、気持ちに区切りをつけなくちゃいけないのは確か。


“好き”を消さなきゃ。
どうやって……?



それは多分、分からない謎を解かない限り難しいかもしれない。


最大の謎は、なんで私を“彼女”として傍におくんだろう。




「いらっしゃいませ〜」



複雑な感情は、作り笑いの下に隠す。



悠斗と付き合って得たものは、きっとこの作り笑い。



悲しくたって、笑わないといけない環境が私を強くもした。