その決まり事は
仲間内で喧嘩をしても、決して大きな怪我をさせない。
仲間内での盗みはやってはいけない。
女を犯してはいけない。
この3つ。過去に色々あったらしい。バカな事ばっかりやってるけどこの決まり事はいつしか仲間内だけじゃなくても守っている。そんな芯がしっかりしている友達だって自慢していた智也先輩がかっこいいと、結局ノロケがふんだんに盛り込まれていたけど優衣がかわいかったから許す。
「ねぇ彩音、“仲間内での盗みはやってはいけない”てさ、彼女の事も含まれると思うんだ。祐介君は彩音が悠斗君の彼女って知ってる訳だし、別れてから近付くならともかく、今まで全く接点がなかったのに急に近付くってどうしてなんだろう?」
「そんなの私だって知らないよ」
「小指にキスされたくせにって!彩音顔真っ赤!!」
「ちょっと優衣、からかわないでよ」
「彩音、祐介君を好きになっちゃ駄目だよ。決まり事は鉄の掟らしいから、祐介君は彩音を奪おうとか思ってないよ」
さっきまで笑ってた優衣が急に真剣な顔をした。
“好きになっちゃ駄目”
分かってるよ、そんなんじゃない。祐介は悠斗の友達。私、そんなんじゃないよって言おうとしたのに、何故か言葉が出てこなかった。
「彩音、祐介君って女子に本当に冷たいの。私は話した事ないし、智也と一緒に溜まり場の前に行ったとはいえ、悠斗君も祐介君も遠いところにいたからコッチには気付かなかったから接点はないけど……
でもね、ギャルじゃなくても真面目そうな女の子も、美人とかかわいいとかで有名な女の子も、みんなこっぴどくフラれてるんだって。“もう二度と祐介君に恋をするか!”なんて思わせちゃうなんてよっぽどだよ。
だからね、彩音の話を聞いた時は彩音の事好きなのかなって一瞬思ったけど、決まり事聞いちゃったから、別れる前に行動するのはなんか怪しいなって……あたし疑り深いかな?でも、
祐介君にはホモ疑惑もあるし、もしかしたら悠斗君を狙ってるって噂が本当だとしたら、彩音を早く別れさせる作戦かもって……」