クリスマス・ハネムーン【ML】

「お師匠さまが、男と結婚していたなんて……
 俺……見損なっていました」

 そう、ジョナサンに、しみじみと言われて。

 僕は身構えた。

 自分はゲイだと、最初に僕にカミングアウトしていたはずのジョナサンにさえ。

 男同士、一緒の籍に入るっていう行為は、忌むべきもの、なのだろうか。

 多分。

 青ざめて、ひきつっているだろう僕の顔をしっかりと見つめて、ジョナサンはぐしっと水っ鼻をすすった。

「俺、あわよくば。
 一目ぼれしたお師匠さまと、裸で付き合える、良い関係になりたかったのに~~
 ご丁寧に籍まで入ってたら、手が出しにくいじゃないですか~~」

「裸の付き合い!
 僕に触るな、とあれほど言ったのに、あんた、まだ懲りずに……って、え?」

 ジョナサンの言い草に、僕は目を瞬かせた。

「男同士、籍が入ってるなんて。
 僕を見損なうほど……気持ち悪い、って言うんじゃ、なく?」

「何が気持ち悪いんですか~~
 それだけお師匠さまと、Mr.霧谷に覚悟があるってことでしょう?
 しっかり、ゲイ恋人の理想形じゃないですか」

 ……それ。

 ジョナサンは本当に思っているんだろうか?

 そっと、ジョナサンの方を見れば。

 ヤツは、目を星に変えて、ゲンコツを握ってる。

 ……どう見ても、否定的な感じじゃない。

「……うぁ」

 だったら『見損なう』っていう日本語の使い方、間違ってるぞ!

 どきどきしたじゃないか!

 と、突っ込みを入れかければ。

 震える声が、僕を呼んだ。

「相模さん……いや、霧谷さんが二人なら、螢さん、ですね。
 わたしは……正直、かなり混乱してます」

「……佐藤」

「話には聞いてましたが男同士、恋人状態が、成立するなんて!
 しかも。
 やろうと思えば、結婚まで、本当に出来るなんて!!」

 そう、叫ぶように言う佐藤の声は。

 今まで聞いた、彼の声の中で一番尖ってた。