クリスマス・ハネムーン【ML】

 驚いている僕に、ジョナサンは、言った。

「Mr.霧谷がYouのことを起こすな、と言ってたから。
 しばらく、窓の外から、Youの寝顔を見ているうちに……その。
 ……惚れてしまったんだ」

「何を莫迦な……!
 この国の警察官は、勤務中に、ヒトを口説くのか?
 しかも、僕は『男』だぞ?」

「男が、男を好きになったから、なんだ、って言うんだ!
 俺、日本が好きで、さんざん遊びに行ったけど。
 Youみたいにキレイなヤツは他に見たことがなかったから。
 思わず。
 まだ行ったことのねぇ、中国か韓国の人間かと思ったぐらいだ!」

 呆れた僕に、ジョナサンは、むきになった。

「しかも、その好きになったヤツの着替えに出くわせば……
 ……全身にキスマークがついてる上、傷だらけじゃないか!!
 男だろが、女だろうがパートナーをそんな風に傷つけるのなら。
 どんな偉い博士でも、最低な野郎だ!
 そんな相手なら、さっさと振って、俺に、乗り換えたほうが良いぜ?」

 俺は誓って、Youが望まない限り絶対触らないし、優しくするから、なんて。

 ジョナサンは言った。

 ……そうか。

 こいつは……!

 僕の傷を見て、ハニーがやったんだと思ったんだ。

 確かに、やや愛情深すぎるキスマークは、ハニーがつけたモノだけど。

 そのキス以上の傷をハニーにつけられたコトなんて一度も、ない。

 体格差はともかく。

 本気で戦(や)りあえば、素人のハニーは敵じゃなく。

 あっさり勝つのは、僕の方だ。

 しかも、僕は手に職がついているから。

 世間が就職難で喘いでいても、僕には関係なく。

 明日からだって、経済的に自立して一人暮らしが出来る。



 もちろん。

 ハニーと争ったり、別れたり、なんて。

 ……どっちも、絶対、やらないけどな。