……多分、って。

 推測し(かんがえ)なくてもわかる。

 ハニーは。

 一晩経って、頭が冷えただろう佐藤と、話をするために、沖に出たんだ。

 僕を置いてけぼりで行ったのは。

 佐藤と、こっそり。

 色っぽいことをするためじゃなく。

 僕が疲れて、出航時間に起きなかったからだ。

 ……そう、判っていても。

 機嫌の虫の居所が、不愉快の方に傾いた。


 ……ちぇっ!


 床の上で一人、大きな舌打ちをして。

 僕は重たいカラダをようやく、起こした。

 ……それにしても、ハニーって、タフなヤツ。

 時間を決めて、薬さえしっかり飲んでいれば、普通に動ける上。

 病気に負けないために、とか言って。

 普段から健康管理だの、体力維持の筋肉トレーニングだのに励んでるもんだから。

 不摂生をしている健康な人間よりも、体力があるんだ。

 しかも、絶対。

 ウケのネコより攻めるタチの方が、楽に決まってる。

 ……と、僕は信じてる。

 僕は散々ハニーに鳴かされたのに。

 ハニーの方ときたら。

 吐精の時の「……くっ」の一言で終わってしまうんだ。

 それが、何だか悔しい。

 いつか、立場を逆転させてやる、とは思っていても。

 今更変えるのは、難しいだろうなぁ。

 僕の高すぎるプライドを。

 ハニーに、べっきべきへし折られながら抱かれるのが。

 ある意味『快感』だったし。

 その即物的な刺激が『気持ち良い』って、カラダが覚えてしまっているから。

 ハニーが、僕のことを、必要としてくれる限り。

 今の立場に不満なんて、なかった。