小さくて、やわらかい。

 保護欲と、征服欲を満たしてくれる。

 可愛い女の子を抱きしめるよりも。

 でっかくて、あったかく。

 ともすると、めちゃくちゃに壊し兼ねないほど。

 ハニーは強く、激しく僕を求めてくる。

 そんな熱に巻き込まれることが、心地良かったんだ。


 ………。

 ……その、熱の元の手が、今。

 ベッドに仰向けになり、ハニーを見つめる僕の。

 右頬から、あごにかけての全部を、包み込む。

 それと一緒に。

 今まで立っていたハニーが、ぎしり、と音を鳴らして。

 僕の寝ているベッドに腰を下ろした。

 と。

 緑色の瞳が、ゆっくりと近づいて来て。

 僕の唇に、ハニーの唇が軽く触れた。

「……酒のにおいがする。
 私に黙って飲んだろう……?」

「……う」

 指された言葉に、声を失えば。

 ハニーはもう一度、僕に口付けて、ささやいた。

「……莫迦なことを……相当、苦しんだんじゃないか?」

「それは……っ!
 ハニーが、嫌酒剤なんて、飲ませるからっ!」

 今なお、力が今ひとつはいらず。

 起き上がればぐらぐらすることは、必須の自分のカラダを抱えて、ささやき返せば。

 ハニーは、クビを振った。

「……まさか。
 酒を本格的に飲まなくても。
 奈良漬け程度のわずかなアルコール分を摂取するだけで苦しむ薬を。
 私が、大事な螢にこっそり飲ませたまま、黙って。
 どこかに出かけるワケが無い」

「……じゃあ、なんで……」


 こんなことになったのか?


 腑に落ちない僕に、ハニーは、目を伏せた。