「ハニー?
 とうとう、言っちゃったけど……本当に良いの?」

 ハニーの告白に、相当ショックを受けたのか。

「……自分のホテルに帰って頭を冷やして来ます」

 と。

 僕達のコテージから出て行った佐藤を見送って。

 だるい身体をベッドに投げ出したまま。

 ハニーを見上げれば。

 彼は、目を細めて僕を見つめ返した。

「いいんだ。
 それよりも、もっと早く。
 私が佐藤君に言っておけば良かったんだ」





「……愛してるって、本気ですか?」

 ハニーの告白に、佐藤は、目を見張る。

「相模さんは、男性なのに……?」

「男も女もない。
 好きになってしまったものは関係ないだろう?
 螢は、私の最愛のひとで。
 この旅行も、本当に、この彼と、私のハネムーンなんだ」

 まさか、男同士でハネムーンだなんて……と。

 まだ何か良いたげな佐藤を制してハニーは言った。

「グレートバリアリーフを保護する現地の人々と、交流を深めたり。
 液晶画面に最適な海藻を発見する調査をするのに、やぶさかではない。
 だが、しかし。
 私達の中に入って来るような、野暮なことは、止めてくれないか?」

 ハニーは、いっそ晴れ晴れとした表情で、はっきり自分の思いを伝え。

 それを聞いた佐藤は。

 喉の奥で小さく唸ってた。




「休みが終わって……ハニーの職場に……変な噂が流れたら……仕事がやり辛くない?」

 僕は、いわゆる『普通の企業』に勤めたことがないので、想像もつかないけど。

 噂が立って、ハニーは仕事が干されたりしないんだろうか?

 心配になって聞けば、ハニーが肩をすくめた。