クリスマス・ハネムーン【ML】



「……ハニー……」



 ハニーの心が嬉しくて。



 強い意志が愛しくて。



 それから続く言葉なんて、声に出せない。


 暖かいものが詰まったこの胸を抱え、思わずうつむいた僕を気遣って。

 ハニーは強い視線を、ふ……と和ませる。

「螢?」

 そう。

 心配そうに僕の顔を覗き込んだハニーに、僕は笑う。

「……っとに莫迦なヤツ。
 ハニーだって本当はネコじゃないクセに。
 僕のために、無理するなよ。
 今日はともかく。
 今まで僕は、あんたを拒否したことなんてなかったじゃないか。
 僕だって、ハニーを受け入れる気は満々なんだ。
 別にイイってんだから。
 あんたは、黙って勝手に僕を抱いてれば、良いのに」

「私は、無理なんて一つもしてない」

「……ネコ希望だったら、バリタチ(攻め専門)そのまんまな誘い方するんじゃないよ。
 まったく、もう。
 色気も何もなく『来いよ』だって?
 そんな誘い方、なんて。
 これからハニーとしようと思うのが、愛し合うコトじゃなく。
 決闘か何かだったっけ? って、思うだろ?」

「……悪かったな。
 私は、君とは違って色事に関する知識は、ほとんど無いのだ!」

 おお、スネた。

 いつも、冷静に物事を進めるはずのハニーが頬を膨らませている。

 あんまり見ない、その状況に僕はつい、からかった。

「ずっと、顕微鏡が恋人だったから?」

「そうだ!
 その『いつも覗いていたくなるような美人』な顕微鏡っていう恋人他には『毎日頭を悩ます』方程式って言う愛人もいたが。
 そいつらは、一度だって。
 私に恋の手管なんて、教えてくれなかったんだ!」